ヤノショー's blog

何気ない日常を遺してく

夏虫疑氷

夏の終わり、君と出かけるのを心から楽しみにしていた。

思えば、君と出会う最後の夏だったし初めて2人で出かけた。

 

出かけるって言っても一緒にご飯行って少し愚痴りあったりして池袋の街を歩くだけ。

それがただ、幸せだった

 

いつもとは違う服、少し鼻に刺す匂い、でもそれも良かった。

ちょっと道に迷ったりしてかっこ悪いとこ見せたりしたけど、2人でいっぱい話して飯食って励ましあったり色々したな。

でも、そこから何故か君だけが明るい世界へ進んで…俺は取り残されてしまう気がして…

嫉妬して、自分が嫌になった。

 

君は先を見ていただけなのに未来を見ていただけなのに…俺は現在しか見ていなかった。

 

未来を考えるのが怖くなった。

何かを傷つけるんじゃないかって何もかも失うかもしれないって。

 

途絶えだしたLINE

合わなくなる目

すれ違う廊下

 

並ばなくなる帰り道

 

 

 

 

でもある日2人は並んで歩いてた。

人生最後に会う日だ。

 

 

今思えば、最後の最後まで君は優しかったんだなって。

 

全部嫌になってたのに君の一言で世界が広がった気がした。

無くすのが嫌で自ら捨てたものを拾った気がした。

信じたくなくて見えないふりしてたものが全部見えた気がした。

 

何が大切かなんて、誰を愛してるかだなんて、大事なものをどうすればいいかなんて分かってたのに…いつも最後に気がつくんだ。

 

 

 

 

今君がどこで何をしてるかなんて知らない、誰と付き合ってるかだなんて知りたくない、でも夢を叶えて欲しいし幸せになって欲しいとは思うよ。

 

 

君はもう忘れちゃったかな?最後の約束

 

 

「幸せになろうね」

 

 

 

今年も夏はやってくるんだ